3.11

地震発生。これはやばいと感じ、職場の居室のロッカーを押さえる。ロッカーの上からはファイルが落ちる。同僚のデスク周りのファイルも散乱。自分のデスクの上にある天井埋め込み型エアコンが大きく揺れ、天井が軽く崩れ、デスクの上は真っ白。エアコンが落ちるとかと思った。
揺れが収まり、敷地内にある建物のエレベーターに閉じ込められた者がいないか、確認に出る。外に出て屋根つきの歩道にさしかかると、大きなきしみ音。たぶん、走っていたため感じなかったのだろうけど、まだ揺れていたのか。傍にいた出入り業者の方に、歩道のきしみ音の件を総務へ連絡するようお願いし、12階建ての建物へ向かう。すでに広場には、建物から出てきたもの多数。避難が開始されていた。
他部署の者と手分けして確認。自分は12階建ての建物へ。建物山側・谷側(左右?前後?)それぞれに階段があり、それぞれに2基のエレベーター。山側の階段をのぼりながら、エレベータの扉を叩きつつ、中からの反応がないかを確認しながら12階まで。そこから谷側の階段に移動し、階段を下りながら、再度エレベーターの確認。エレベータのケーブルが、ヒュンヒュンと音を立てる。不気味な音。天井から下がる非常口の案内板が揺れる。階段にある壁の崩れやクラック。このまま階段を下りながらの確認に不安を覚えつつも1階まで。
一度居室に戻り、再度外へ。各建物にまだ残っているもの多数。このままではいけないと、手分けして各建物内に入り、避難を呼びかける。それと同時に、独断にて、緊急の一斉放送を依頼。TOPの判断は待っていられない。責任は自分で取る。
再度、12階建ての建物へ。他部署の者が持っていたメガホンを借り建物へ。再度12階まで階段を使用し避難を呼びかけ、各部屋から出るのを目視。その後、他の建物および、他の場所へ向かい全員が1ヵ所に集まるように指示。避難場所へ向かうと、すでに500名以上はいただろうか。
この時すでに16時前か。風が強くなり、冷え込んでくる。電車は止まってると言う情報。この時点で、長丁場になる事に腹をくくる。とりえあえず、自転車、バイク、徒歩にて帰宅できる者に対し帰宅命令。残りは広場を挟んでふたつある建物のロビーに入るよう指示。次に、職場で抱える宿舎利用の者に対し帰宅命令。
その後、他の建物に全員を集める。この時、約300名。この時点で、職場内の食堂より19:00に炊き出しが行われる事決定。ひとつの場所に大勢集まると言う事で、総務にてマスクと手指消毒用アルコール準備。その後、八王子および橋本から自力や、路線バスにて帰宅できるものを送迎用バスを使い帰宅させる。19:00過ぎには予定通りに炊き出しのおにぎり配布。
22:30を過ぎて、京王線運転再開の情報。この時点で、京王線を利用すれば帰れるものを送迎用バスにて帰宅させる。あとは、朝を待つのみ。この時点でこの建物には150名ほど。本来なら、指示を出す関係と、二次災害等を考え、1ヵ所に固まっていてもらいたいものだが、自分の居室に戻ったもの多数。多分、100名弱。
しかし、避難している建物内には、情報を得るための物がない。ワンセグ携帯は多くの物が持っているが、今必要なのは、地震の起こったメカニズムやら、津波のメカニズム、同じ映像の繰り返しではない。起こってしまった事を正確に伝える事も必要だが、これからどうなるのか。問題なのは、今避難している者達をいつになったら帰宅させられる事ができるのか。そして日が変わる。
長い夜。寝ずの番。食べたもの、炊き出しのおにぎりふたつ、そしてアイスクリームふたつ。職場内に、しかも避難している建物内にサンクスがあったのが救いか。しかも、今日に限り24時間営業。
5:30になって、打ち合わせ。JRの情報により、7:00頃には運転再開。それに合わせ指示を出すべく、各建物に戻った者も、再度、避難場所としている建物に集合させる。
7:00になっても、はっきりとした情報はなし。この時点で、再度、京王線への誘導。送迎用バスを橋本と京王八王子へ。しばらくして、JR運転再開。送迎用バスを1台追加し、3台を八王子みなみ野へ向かわせるものの、情報に乏しい武蔵野線および相模線利用者が若干残るものの、他の路線を使用して帰宅するように指示。そして、建物の被害状況確認。広い職場内を手分けして。確認が終わり居室に戻ったのが11:00前。しばらく休憩し、その後帰宅。
長かった一日も、なんとか終了。